敬うべき者を敬う(2021/10/3)熊江秀一牧師

■聖書箇所:
ローマの信徒への手紙13章1~7節、詩編21編1~8節

■説教要約:
パウロはキリスト者の新しい生活を勧める中で「人は皆、上に立つ権威に従うべきです」と語る。教会の歴史において、この御言葉は様々な聞き方がされ、王の権威を無条件に神の権威としてしまうこともあった。日本基督教団も成立時に同様の罪を犯し、国の戦争に協力した過去がある。
パウロがこの御言葉を通して語りたかったのは、この世の国も、神の支配の下にあり、神の御手が働いていることである。
この勧めの背景には、教会内の霊的熱狂主義があった。彼らは終末を求めるあまり、この世を否定した。しかしパウロはこの世は神の支配下にあり、この世の権威を認めることを勧める。私たちは「この世に倣ってはならない」(12:2)。しかしこの世に生きる者として、信仰ゆえにこの世の権威を認め、自分の義務を果たす。そこから証しの生活が始まる。
主イエスはキリスト者を「地の塩」「世の光」と呼んだ。塩は自分を溶かし、相手の味を活かす。しかし防腐剤となる時、その塩辛さで、相手が腐らないように働く。キリスト者も自分を溶かし、人を活かすと同時に、世が誤った方向に向かう時、信仰の塩辛さで働く。光も同様である。パウロの勧めの背景にもこの主イエスの「地の塩」「世の光」の教えがある。
パウロはこの勧めを前後の愛の賜物と隣人愛の教えで挟むように語った。この勧めは、キリスト者の愛ゆえの生き方である。
内村鑑三は「私は二つのJを愛する」と語り、ジーザス(キリスト)への愛を持って、(ジャパン)日本を愛した。そしてその愛ゆえに日本の軍国化に対して「否」と唱えた。
世界聖餐日にあたり、共に聖餐を受け、この世界が神のご支配の下にあることを心に刻みつつ、キリストの愛の賜物を持って歩もう。

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