「勇気を出して」(2020/03/08 熊江秀一牧師)*説教音声あり
「勇気を出して」ヨシュア記1章5節~7節/ヨハネによる福音書16章25節~33節
熊江 秀一牧師
「あなたがたには世で苦難がある。しかし勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」。主イエスによる決別説教の最後の御言葉が与えられた。
私たちは信仰ゆえの「苦難」「なやみ」を経験する。しかし主は「勇気を出しなさい」と宣言する。主は「既に世に勝っている」からである。この「勝つ」は勝ち負けではなく「まさっている」。主はこの世のどんなものにもまさっているという意味である。それは十字架の愛ゆえである。私たちはすべてにまさる主の十字架の愛と救いを受けている(ヨハネの手紙一5章4節参照)。
「勇気を出しなさい」は他の箇所でも用いられる。そこでは「安心しなさい」「しっかりさなさい」「喜びなさい」とも訳された。主が共にいて下さるゆえに、私たちは安心し、喜び、しっかりと立つのである。
それでは世に勝つ主の恵みとは何か。主はそれを約束として語られた(25節以下)。父なる神についてはっきり知らされること、「わたしの名によって願うことになる」ことである。この約束は主の十字架と復活、聖霊によって実現した。私たちは神について知らされ、主の名によって祈ることができるようになった。
主の名によって祈る時、私たちの祈りは神に直接に届けられると主は告げる。もう祭司による取次ぎはいらないのである。そしてその時、主のみならず、父なる神が私たちを友として愛して下さる愛の関係に入れていただける。
この恵みの約束を示され、弟子たちは信仰を告白する。しかし彼らは主の予告通り主を見捨てて逃げてしまう。主はその弟子の弱さもご承知の上で「勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」と宣言する。この主に希望をもって信仰の旅を歩もう。