愛は律法を全うする(2021/10/17)熊江秀一牧師
■聖書箇所:
ローマの信徒への手紙13章8~10節、レビ記19章13~18節
■説教要約:
ここには珍しい愛の教えが語られる。「愛は負債」という教えである。
「互いに愛し合うことのほかは、だれに対しても借りがあってはなりません」。この言葉には愛し合うことが乏しい私たちの現実が込められている。愛ではなく、この世の負債や負い目に追われている現実である。しかし愛こそが私たちが負うべき唯一の負債である。
この愛は「律法を全うする」。律法は「隣人を自分のように愛しなさい」に集約される。主イエスはこの隣人愛の掟と共に、神への愛に生きることで律法を全うすると教えた。その時、隣人愛の意味も変わった。隣人愛が神の愛から始まるということである。「隣人を自分のように愛する」という自己愛から隣人愛を始めても、それはもろい。しかし主イエスは神の愛から、自分を愛することも、隣人を愛することも始まることを教えて下さった。
「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13:34)。
キリストがまず私たちのことを愛して下さった。このキリストの愛の中で互いに愛し合い「愛の負債」を負い合う。これが律法を全うするキリストの愛の掟である。
今日、敬老祝福礼拝にあたり、信仰の先輩たちが「愛の負債」を互いに負い合い、愛と信仰の人生を歩まれてきた姿を思わずにはいられない。今日、共にキリストの十字架を見上げ、キリストの愛に生かされて、互いに愛し合って「愛の負債」を負い合って歩みたい。キリストが罪と死の負い目から私たちを解放して下さったことを心に刻み、ただ愛し合うことを唯一の負債として、共に愛と信仰に生きたい。愛こそがすべてを完成するのである。