あふれるほどの祝福を持って(2022/1/9)熊江秀一牧師
■聖書箇所:
ローマの信徒への手紙15章22~33節、創世記32章25~31節
■説教要約:
この手紙の終わりにパウロはイスパニア伝道という新たなビジョンを語る。
イスパニアはスペイン、当時の世界の果てである。パウロは福音を世界の果てに届ける途中、ローマ教会を訪問したいと願う。
ローマ訪問には二つの目的があった。一つは「共にいる喜びを味わう」ためである。第二は喜びを共にしつつ、イスパニア伝道の働きを共有することである。これらは教会の大切な使命である。
しかしパウロはその前に、エルサレムに献金を届けると言う。当時、エルサレム教会は弱い立場の人々と持ち物を共有し貧しかった。飢饉もあった。そこでパウロは異邦人教会に献金を呼びかけた。ギリシャの諸教会もこの「援助」に喜んで同意した。「援助」の原語はコイノニア。恵みを分かち合うことである。この恵みはエルサレム教会から始まった。だから「援助」は、恵みを受けた者の「義務」でもある。
この異邦人教会の献金を携えての訪問は、エルサレム教会との主にある関係を確かめることでもあった。パウロには確信があった。人間の思いや対立を超えた、キリストの恵みに対する確信である。
パウロはその恵みと共にイスパニアに出発し 「キリストの祝福をあふれるほど持って」ローマを訪問すると語る。この祝福は、ローマの教会に満ちあふれ、さらにローマからイスパニアへと満ちてあふれて行く。
パウロは最後にローマの教会の人々に祈りを願い、祝福を祈る。
この時のパウロの祈りは別の形で実現した。彼は捕らわれの身となりローマに行き、またパウロの後に続く伝道者たちによって世界の果てに福音が宣べ教えられた。神のご計画にこそ希望がある。私たちもキリストのあふれるほどの祝福を持って、この年を歩もう。